【新山みりょくびと】平谷光子さん
プロフィール
昭和十七年四月生まれの七十五歳。愛称は「みっちゃん」。岡山県高梁市で生まれ育ち、二十一歳の頃、現在のご主人との結婚を機に新山に嫁いで来られました。新山に来てすぐに始めたそろばん教室は昨年の二月まで、なんと五十一年間続け、新山の子どもたちの成長を支え、見守り続けてこられました。
地域の働き者
そろばん教室だけではなく、農協に勤め、織物や縫製の内職をしたり、小包の配達をしたり等、様々な仕事をしてこられました。また、公民館の広報や婦人会、更生保護婦人部などの地域の役回りもこなし、新山の人は知らない人がいないほどに、地域のことを知り尽くしていきました。ところが、忙しく走り回る毎日の中で、乳がんや子宮がんを患います。しかし、「その困難があったからこそ、人の気持ちも分かるようになった」と、前向きに、芯のある声で話してくれました。
親の姿を見て
新山の地域の特色について尋ねると、「地域の色んな行事の中で、親の姿を子どもがいつも見とるじゃろ。それで親の考えも受け継がれていく。子どもにとって、親と一緒に何かできることはどれだけ良いことか」と、世代を超えていい地域をつくる秘訣について話してくださいました。最後に画用紙には「後継者をつくりました」と書かれました。「後継者」とは、光子さんの姿を見て育った息子さんご夫婦であることはもちろんですが、半世紀に渡り、そろばん教室で指導してきたたくさんの地域の子どもたちもそうなのではないでしょうか。
編集後記
「こんにちは!」と、みっちゃんの声が響けば、その場がパッと明るくなるような印象をいつも受けていましたが、そう感じている方も多いのではないでしょうか。その過去には様々な苦労があり、乗り越えた強さがあったからこそ、子どもたちのことや地域のことを人一倍思いやり、行動し続けてこられたということを、改めて知ることができました。そのような努力によってこれまで守られてきた新山の良さを次世代に繋げていくお手伝いが私にもできればと、感じました。
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